へそ曲がりを増やす

年度が、あけた。教務委員として準備すべき仕事は大抵済んだし、後は新入生や回生が1つ上がった学生たちが大学にぱらぱらとやってくるのを迎えるだけである。

そして、準備していたつもりで忘れていた、または新たに発生した案件に対して、その時その時で最適な一手を考え、さらにその間を縫って、書かなくてはいけないこと、書きたいことを書くという時間が始まる。

やるべきことは、例年同じだが、毎年自分なりのテーマは異なる。

昨年のテーマは、「成熟」であった。
今年のテーマは、「へそ曲がり」を育てる、ということにしたい。例年、講義やゼミではそのようにぼんやりと考えていたのだが、なぜそう思うかについては、はっきりと言語化できていなかった。

私は、皆が同じ方向を向いている、事に対して、やや否定的なんだと思う。みなが拝むモノに対して、そのモノの裏側(物理的な意味で)をのぞいてしまう人間だった。その傾向は、社会学という学問にであって余計に弾けたようだ。
Aが大事だ、と言われれば、Aでしょうか?と問いかけ、これからはBだ、と言われれば、昔からBでしたよ、と言う。

実にかわいくない。しかし、社会の一定数は、そういう人間がいる。内田先生は、「生物多様性」やリスクヘッジ、という言葉でそれを表現していた。しかし、そういう人間がいる集団は、危機のおりにその生存可能性を高める。一致団結は、確かに尊い。しかし、一致団結と皆が同じ方向を向いているかどうかはまた別である。横を見たり、後ろを振り返ったりする人間が必ず必要である。

今年度は、そんな事を考えながら、日々の業務を行いたい。